BMW新型1シリーズ試乗レビューエクステリア、動的質感について
BMWのエントリーモデル1シリーズがフルモデルチェンジを実施しました。
今回は1.5ℓガソリンターボの118i M Sportに試乗させて貰いました。
ディーゼルエンジンも近々追加されるそうで、今年2019年の12月前半で試乗も出来るとの事なので機会があれば試乗させて頂きたいと思います。
そのタイミングに近いところで3シリーズのツーリングも試乗が可能になるので個人的にはこちらがかなり気になるところではあります。
今回は1.5ℓ3気筒ターボが搭載された118i M Sportのエクステリアと走りをレポートしていきます。
まずはエクステリアから見て行きます。
先代の1シリーズとも簡単に比較しながらデザインの違いや思う事を記載します。
先日内装のレポートも更新しているのでこちらも良かったら。
新型1シリーズのグレード構成と価格です。
118i Standard | 1.5ℓ3気筒ターボ × 7速DCT | ¥3,340,000 |
118i Play | 1.5ℓ3気筒ターボ × 7速DCT | ¥3,750,000 |
118i M Sport 試乗グレード | 1.5ℓ3気筒ターボ × 7速DCT | ¥4,130,000 |
M 135i X Drive | 2.0ℓ4気筒ターボ × 8速スポーツAT | ¥6,300,000 |
BMW新型1シリーズのエクステリアレポート
大型化したフロントグリル
やはり最新のBMWをレポートする上でこのグリルの巨大化は避けては通れません。
BMWデザインの象徴でもある、キドニー(腎臓)グリルと呼ばれるフロントグリルは大きくなる一方です。
以前は腎臓らしく2つに分かれていましたが、少し前からSUVモデルを中心に繋がり初めて今では1シリーズでも一体化しました。
こちらは先代の1シリーズですが、かなりグリルが大きくなった事がわかります。
新型1シリーズ、色々先代の方がやっぱり良いな。
でも、今は先進性は勿論ですけどデザインのインパクトって重要なんでしょうね。
マイナーか次期モデル辺りインパクトがより洗練されてブラッシュアップしたデザインとして出てきそうな予感が大きいです。 pic.twitter.com/CcYrV9WyDO
— UU (@WCLBlogAuthor) November 9, 2019
ツイートもしましたが、新型のデザインは大きくなったグリルに馴染んでないというか、まだまだ模索中な雰囲気。
デザインは人それぞれ感じるところは違うと思いますが、ドイツプレミアムに感じていたどこか品のある部分がグリルの巨大化によって薄まってしまった部分が大きいように思います。
とは言いましても、チャレンジングな時期にはネガティブな意見が付いて回るのも往々にしてありますから、今後は見慣れて大きなグリルもスタンダードになるんでしょうね。
レクサスのスピンドルグリルの時と同じ現象が今BMWに起きているんだろうと感じています。
ブラッシュアップされ品を纏い始めるのも時間の問題かもしれません。
ALHは殆どのグレードでオプション
新型1シリーズのヘッドライトはLEDが採用されています。
ALH(アダプティブLEDヘッドライト)が標準かと思っていたのですが、M Sportでもオプション設定、ビジョンパッケージ(●アダプティブLEDヘッドライト●ハイビームアシスタント●BMWヘッドアップディスプレイ)¥270,000となっています。
ライバルであるメルセデス・AクラスもALHは標準ではありませんが、AMGライン約25万円のオプションでALHが装備されます。
このAMGラインで装備される項目は多岐(内外装にかなりの変化)にわたりお得感すら打ち出していますが、ビジョンパッケージにお得感は感じません。
マツダ・MAZDA3
おなじくCセグメントハッチの国産代表MAZDA3ではほとんどのグレードでALHが採用されています。
ここを無視した価格設定はいかがなものかと感じますね。
先日レポートした内装から見ても価格を考えた時のインパクトはMAZDA3に軍配が上がりますので、ドイツプレミアムとはいえ出し惜しみは避けた方が良いように思います。
ではエクステリアの機能を見ていきますが、1シリーズのヘッドライトはデイライト機能が搭載されポジションランプはこのように点灯します。
イカリングでは無くなりましたが、ぽさはしっかりと残っていました。
ヘッドライトの造形は素晴らしい物があります。
フロントサイドはスリットが入って整流に配慮されています。
BMWやメルセデスでは多く用いられている走りへの拘り。
ピンボケてますがしっかりと抜け穴になっています。
1シリーズのグリルは3シリーズ等で採用されているアクティブグリルシャッター(グリルの開口が自動開閉する)は採用されていません。
グリル自体の質感は高いです。
ロアバンパーのニッコリ感が分からない黒のボディーカラーの方が個人的には好みでした。
サイドに移ります。
FRからFFへの移行での変化
今回の改良で大きなトピックとしては駆動方式がFR(後輪駆動)からFF(前輪駆動)に切り替わったことが挙げられますが、これによりサイドのスタイリングへの影響が大きいと感じています。
全長は4,355㎜となっていてCセグメントハッチバックの真ん中という長さです。
ライバルCセグメントと全長を比較してみます。
全長が短い順です。
VW・ゴルフ | 4,265㎜ |
プジョー・308 | 4,275㎜ |
BMW・先代1シリーズ | 4,340㎜ |
BMW・新型1シリーズ | 4,355㎜ |
メルセデス・Aクラス | 4,420㎜ |
マツダ・MAZDA3 | 4,460㎜ |
スバル・インプレッサスポーツ | 4,475㎜ |
ホンダ・シビックハッチバック | 4,520㎜ |
このように一覧にしても新型1シリーズはCセグメントの全長のど真ん中にいることが分かります。
国産のCセグハッチって大きいですよね。
もはやステーションワゴンか。
レポートに戻ります。
先代のサイドビューはAピラーから前輪までの距離が長く、スタイリッシュな造形と高い走行性能を彷彿とさせるものでした。
プレミアムのCセグメントハッチバックとしての特別な印象がこれだけで表現されていたと思います。
新型はFFらしくキャビン長が確保された実用性重視のスタイリングとなりました。
これにより他メーカーのCセグメントハッチに埋没してしまいそう。
特に個人的にはスバル・インプレッサとそっくりになったなと思いました。
インプレッサはマイナーチェンジ前ですが、似てません?
M Sportは専用の18インチアルミホイールとタイヤ。
オーソドックスながら、立体感あってカッコイイ。
タイヤはブリジストンでしたね。
標準採用であと1メーカーあると思いますが、どのメーカーでしょうね。
サイズは225/40R18です。
ボディーサイドのキャラクターラインは2本。
Bピラーはしっかりピアノブラックの化粧パネルで質感は良いです。
静電タイプのスマートキーですが、前後共で施錠、解錠できるようになっています。
ボディーが黒いとあまり気にならないですが、リヤのホイールハウスとタイヤの隙間も少し気になりました。
ディスクとホイールの隙間が余計そう感じさせるのか。
最後にリヤビューです。
新型1シリーズリヤビュー
フロント同様にリヤも立派になりました。
新型1シリーズのリヤコンビネーションランプもフルLEDとなっています。
フロントに比べるとリヤは少しシャープな印象です。
サイドのエアインテークデザインはダミーでした。
控えめダミーで、デザインにスポーティさをプラスって感じでしょうか。
良いっすね。
ポジションランプの点灯状態です。
マフラーは片側1本出し。
マフラー径も太くて立派なサイズでした。
ロアバンパーはディフューザー形状になっています。
径もですが、フィニッシャーの仕上がりが素晴らしい。
全体的なフォルムはFFになった事で個性が薄れましたが、キドニーグリルや質感の高さでカバーしてきた印象です。
ドライブフィールはどうでしょうか。
新型1シリーズM Sportのドライブフィール
新型1シリーズ試乗車のスペック
駆動方式 | 2WD/FF | |
トランスミッション | 7DCT | |
ボディーサイズ | 全長4,355×全幅1,800×全高1,465 | |
車体重量 | ― ㎏ | |
ホイールベース | 2,670㎜ | |
WLTCモード燃費 | ― / ハイオク | |
最低地上高 | 155㎜ | |
サスペンション 前/後 | マクファーソンストラト / マルチリンク | |
総排気量 | 1,499cc | |
燃料タンク容量 | 50ℓ | |
エンジン最高出力 | 140PS 4,600-6,500rpm | |
エンジン最大トルク | 220N・m 1,480-4,200rpm | |
最小回転半径 | 5.7m |
1.5ℓの3気筒ターボは2シリーズ等で既に採用のあるタイプだそうです。
勉強不足で知りませんでしたw
先代3シリーズに使われている1.5ターボも3気筒エンジンです。
エンジンスペックは殆ど同じで、新型1シリーズの方が馬力が少しアップしています。
最小回転半径が5.7mと意外と大きいですね。
では試乗編です。
新型1シリーズドライブポジション
運転席
内装編でも紹介していますが、M Sport専用のスポーツタイプのシートです。
着座感は硬めでタイトでした。
特に背もたれのサイドサポートはランバーサポートの代わりに稼動して体を横から閉めてきます。
調整の仕方によりますが、かなりガチッとしたホールド感がありました。
座面が薄く感じる
あと乗り味でも効いていたと思うのが座面の硬さと薄い感じですね。
特に硬さが気になりました。
ペダルレイアウト
座面は低く、ペダルも奥に配置されているので低い位置で座ることが出来るのは個人的に好みです。
ホンダ・シビックと似た着座感ですね。
シビックも低い位置に設定できます。
1シリーズはその低い位置にすると少し見切りが悪くなるので駐車時は少し気を使うシーンも出てくるかもしれないと思いました。
ファーストインプレッション
センターコンソールのシフト右側に配置されたエンジンスタートスイッチを押すと1.5ターボが始動しました。
1.5ターボエンジンが3気筒と知らなくて雑味とは違う違和感のあるエンジン音だなと。
一瞬「ディーゼルか?」思うような少し力強さを感じる音質で嫌な感じは無いけど4気筒とは明らかに違うと感じる物です。
一般道に出るときにステアリングを切っていくと車両はレスポンス良く追従してきます。
ステアリングは少し重めの操作感で好みでした。
所有しているスバル・レヴォーグ程ではありませんので扱い易い範囲です。
クイックな反応はBMWらしいと感じますが、FFのクルマに高いダイレクト感を感じさせるための味付けの域内という印象です。
やはりFRとの構造的な部分での差という部分では違いは生まれます。
しかし、この感覚をどれだけの人が重要としているかは?だと思うのでやはりコストを考えるとFFという流れになるんでしょうか。
ステアリングフィール・乗り心地
しばらく真っ直ぐの道を走って行きますが、ステアリングの座りはドッシリ感もあって重厚。
ディーラー駐車場から出る時の段差乗り越え時も感じたのですが、全体的に足回りの硬さが目立ちます。
通常の路面ではそこまで細かい凹凸は拾うことも無いのですが、大き目の入力やうねりがある路面では内臓に来るような衝撃がシートを伝って感じました。
最近のクルマにしてはハード気味なチューニングになっている印象です。
3シリーズのM Sportを試乗したときも同じ道で硬さを感じましたが、3シリーズは不快に感じる所までは行きませんでした。
多分ですけど、シートの座面がショックを吸収しきれて無いんじゃないかな?
衝撃がサスペンションやボディーを介して乗員に伝わる流れで最終的な衝撃を吸収するのはシートです。
そういうわけで乗り心地に関しては要改善ではないかと思いました。
やっぱり黒好きです。この角度かっこいいな。
加速感
川沿いの信号の無い道に出て加速を試しますが、グーーンという力強い音で加速していきます。
140PS、220N・mのスペック通りの加速感で、速いとは感じませんが街乗りでは充分だなと感じました。
7DCTの変速ショックもほとんど分かりませんし、トルクの美味しいところを上手くピックアップしていくのでストレスは無いですね。
高速とか坂道だと少し唸るのかな?
静粛性
基本的に静粛性も高くて高いボディー剛性から来る包まれ感もありましたし、風きり音等も気になりませんでした。
途中何度が粒度の粗い路面を走っている時に高い音のロードノイズが気になりました。
先程の乗り心地と合わせて改善したほうが良さそう。
新型Aクラスの180に試乗した時にも似た荒削りな部分を感じるかな。
コーナリングはやはりFR
コーナリングはやはり先代に軍配が上がる印象でした。
新型もステアリングに対する車両の動きはクイックで旋回は楽しさも感じる仕上がりです。
しかし、コーナリングのキレというかスッとフロントノーズが向きを変える感覚が無くなったのは惜しいって思っちゃいます。
時代の流れとは言え走る悦びを謳うBMWのエントリーモデルで走りのイメージも強いハッチバック。
FRという武器を捨てた以上、そこをカバーするインパクトが無いとライバルと差を感じてしまうのではないでしょうか。
後から追加されるディーゼルモデルの出来が色々と左右してきそうですねー。
最後に
BMW新型1シリーズM sportは少しネガティブな部分が多かった様に感じたのが正直なところです。
基本的には良く出来てるんですけども、プレミアム・価格を考えた時にそれに見合う感動というか心揺さぶられる物はありませんでした。
ちょっと辛口になりましたが、新型1シリーズのレポート終わります。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。