MAZDA3 SKYXエンジン搭載モデル試乗レポート
MAZDA3のSKYACTIVXエンジン(火花点火制御圧縮着火)SPCCIエンジンモデルに試乗してきました。
ガソリンでディーゼルエンジンのような圧縮着火を行い高い燃焼効率でスペックも燃費も良い夢のようなエンジン。
細かい説明は後ほど少ししますが、世界初で量産に漕ぎ着けた素晴らしい技術が搭載されたエンジンとなっています。
私も楽しみにしていたので営業さんから連絡頂き2つ返事で試乗させて頂きました!
しかし、最初の一回目は時間が短く「明らかに何か違うがもっと良さを理解したい!」と感じまして、SKYXだけで3回試乗させてもらいエンジンだけでなく足回りやコーナリングで他のモデルとは違う魅力を感じることができましたのでレビューして行きます!
試乗車と試乗環境紹介
試乗1回目は街乗り、2回目はバイパスで擬似高速、3回目でワインディングを確認。
1回目はボディーカラーがポリメタルグレーの最上級グレード、バーガンディセレクション。
2WD/FFの車両本体価格が¥3,688,463と高額モデル!
16インチのスタッドレスタイヤを履いてました。
2回目はボディーカラーがソウルレッド、ファブリック内装の上級グレード、ツーリングセレクション。
2WD/FFの車両本体価格が¥3,319,148。
専用のブラックメタリックホイールのエクステリアが確認できて良かったです。
デジカメで撮影はしていませんが、3回目も2WD/FFのツーリングセレクションでした!
MAZDA3SKYX、今年の試乗納めで3回目乗って来ましたw
しかし、良く出来てる!
マイルドハイブリッド絡みの綿密な制御を色々な部分で体感できますね😁
あと、良いのが車体の重さ、これが独特の感覚を生んでると思います。自分なりに感じた事を今年中に報告出来るように纏めます! pic.twitter.com/vN6YvKrSJR
— UU (@WCLBlogAuthor) December 27, 2019
発売の時期が時期だけに1、3回目はスタッドレス16インチ。
2回目で通常の18インチ。
こんな感じです。
動的質感をレポートしながら、この辺りの違いも記載しますね。
SKYXモデル専用装備と概要紹介
SKYXモデルの専用装備も確認してきましたので簡単に紹介します。
ブラックメタリック18インチアルミホイール
通常のMAZDA3のホイールはグレーメタリックのホイールが採用されるモデルが殆どです。
グレーメタリックも良いですが、ブラックメタリックだとより足元が締まりますね!
ソウルレッドとブラックメタリックの相性の良さったら!
大径マフラーカッター
大径のマフラーカッターもSKYX専用品です。
バンパーとのクリアランスも狭くて塊感ある。
やっぱりバランス良くなりますね。
特にFASTBACKのスポーティな雰囲気とは相性が良い。
ノーマルサイズも貧相な感じはありませんね。
SKYXとノーマルサイズのマフラーカッター比較
こうやって並べると違いが結構ありますね。
端面も斜めにカットされているのがSKYXタイプの特徴です。
SKYACTIV-Xエンブレム
エクステリアの違いとしてはここまでなのですが、正直フラッグシップエンジンとしての差別化はもう少し欲しいですね。
マツダの物造りの方針として、各パーツを高品質な物で統一しグレード間の差別を無くすことでパーツのコストを下げるということがあります。
モデルの中でも低めのグレードを購入する場合メリットがありますが、SKYXのように高額になる場合はちょっと寂しくなります。
サンルーフ
オプション扱いとはなりますが、SKYXモデルのLパケとバーガンディーセレクションのみのオプションとしてサンルーフの設定があります。
電動スライド、チルトも可能。
MAZDA3の室内は広々とは行かないので、サンルーフは開放感を出すアイテムとしては持ってこいですよね!
良い感じですねー。
サンルーフ単体でのオプション設定は出来ないので●360°セーフティーパッケージ¥86,880●BOSEサウンドシステム¥77,000●電動スライドガラスサンルーフ¥88,000の計¥251,880を選択することになります。
SKYACTIV-XのSPCCIに関する解説
SPCCI(とは?という方も多い(私もそう)と思うので公式HPからの抜粋ではありますが、解説を載せておきます。
https://www.mazda.co.jp/cars/mazda3/driving/skyactiv-x/
ガソリンを燃料としながら、ディーゼルエンジンと同じように「圧縮着火」を実現する燃焼方式です。リーンバーン(希薄燃焼)をガソリンエンジンでも可能とし、エンジン始動時から加速時まで少ない燃料で高効率な燃焼を行うことで、走りと環境性能を妥協なく両立しています。
圧縮着火を用いた自動車用ガソリンエンジンは1980年頃から盛んに研究が行われてきました。しかし、①高圧縮比化技術の必要性、②燃焼タイミング制御の難しさ からどのメーカーも実用化に至っていません。
マツダは、SKYACTIV-Gで培った高圧縮比化技術とスパークプラグを燃やすためではなく圧力変化に使うという新たな発想での燃焼タイミング制御を開発することで、世界に先駆けて夢のエンジンと言われた圧縮着火ガソリンエンジンの実用化に成功しました。
https://www.youtube.com/watch?v=jG_B3sIEVCY&feature=emb_title
SKYACTIV-XのSPCCIに関する公式の動画です。
ではドライブフィールのレポートに移ります。
MAZDA3 SKYACTIV-X ドライブフィールレポート
MAZDA3 SKYACTIV-X スペック
今回の試乗車は全てFFでした。
出来ればAWDにも乗ってみたい。
SKYXになって地面に張り付いた感じが強くなったように感じたのでAWDになるとより面白い走りになるのでは?
GVC+とiACTIV AWDとの強調制御とか、楽しい予感しかないですw
駆動方式 | 2WD/FF | |
トランスミッション | 6速AT | |
ボディーサイズ | 全長4,460×全幅1,795×全高1,440 | |
車体重量 | 1,440㎏ | |
ホイールベース | 2,725㎜ | |
WLTCモード燃費 | 17.2km/L レギュラー・ガソリン | |
最低地上高 | 140㎜ | |
サスペンション 前/後 | マクファーソンストラト / トーションビーム | |
総排気量 | 1,997cc | |
燃料タンク容量 | 51ℓ | |
エンジン最高出力 | 180PS 6,000rpm | |
エンジン最大トルク | 224N・m 3,000rpm | |
モーター最高出力 | 6.5PS 100rpm | |
モーター最大トルク | 61N・m 3,000rpm | |
最小回転半径 | 5.3m |
SKYXはマイルドハイブリッドが採用されていますが、モーターとしての出力は小さく駆動系の補助的な位置づけ。
脇役ではありますが、走りには大きな影響を与えていました。
まずMAZDA3のSKYXに乗って感じたことを箇条書きにすると、
■ラインナップ中で一番力強くて伸びもある良い加速感。
■マイルドハイブリッドの採用で恩恵を受けた部分がこのモデルの大きな個性になっている。
■モデル中最上重量モデルであることがコーナリングやハンドリング、乗り心地に良好に働いている。
でした。
良い事が多いですが、気になることも勿論あって、
■高速域でのロードノイズ(18インチ)は路面状況にもよるが気になる場面もある。(これは他のエンジンモデルもかもですが)
というのが試乗での大きな感想です。
では細かいレビューをしていきます。
ドライブポジション
人間工学に基づいて設計された運転席
骨盤を起こすことを念頭に置いて開発された新世代商品のフロントシートですが、着座感は相変わらず良好ですね。
旧アクセラや現行の6.5世代と呼ばれるマツダ商品郡のシートより点で受け止める範囲が増えた印象があります。
好みの部分はあるかと思いますが、点と面で受ける割合が最適で長距離乗っても疲れにくいだろうなと感じるフロントシート。
合わせてリヤのシートも同じ考え方で開発されており、こちらもかなりの着座感の良さです。
175センチの私のドラポジに合わせても十分な膝前空間もありますし、2回目のときは8歳の長男(体格は小学5年生並w)を後部座席にも乗せてみましたが、全く余裕でした。
つまりラゲッジ容量360ℓが許容範囲であればファミリー使いでも充分耐えられるという事ですね。
個人的にはもう少し容量がないと厳しい気はしていますが。
ペダルレイアウトがGOOD
マツダ車のレポートでは毎回書いていますが、オルガン式アクセルペダルを含めたペダルレイアウトは運転席との位置関係も良好、理想的なドライブポジションが取れると感じています。
MAZDA3になってからさらに低いポジションが可能になっていて、これまた嬉しいポイントです。
ファーストインプレッション
MAZDA3のエンジンスタートスイッチはステアリング左側です。
1回押してSKYXエンジンがク、ク、ク、コウンと始動。
アイドリング音はしっかりと聞こえてきますが不快感は無かったです。
エンジン音はアイドリング時、低速域では常にドルルルル系の音が聞こえました。
どちらかと言うとディーゼルよりの力強さを感じます。
カラカラ音が無いのでディーゼルとは明らかに違いますけど。
エンジンルームも確認
エンジンルームも確認させて頂きましたが、パワートレーンがパンパンに詰まってるのはカッコいいですね!
男心をくすぐられますw
エンジン始動直後は少し大きめなんですが、しばらくするとかなり静かになります。
カバーを開けても音はそこまで大きくならない印象です。
カバーにもビッシリ吸音材が施されていましたが、走行中のエンジン音侵入の調整用という感じでしょうか。
ステアリングを握ると他エンジンモデルとは少し違うしっかりした感じ。
それもそのはずで、車重は他のエンジンの中で1番重たいんです。
パワートレーンが大きくなった分フロントヘビー感もあるのかな。
20S+80kg、XD+30㎏となっています。
エンジンだけでなく、エアーサプライやマイルドハイブリッド機構の各補機類の影響ですね。
個人的にはかなり好印象なステアリングのすわり感。
一般道に出るその操作感で分かるのですが、他モデルより明らかにどっしりしてるんですよね。
あと段差、道に出る時の段差超えるサスの動きが硬質感強く感じました。
若干ドイツ車的な雰囲気の少し短いストロークと収束の速いダンパーの感じ。
これもフロントヘビーの影響なのか?それともサスペンションも何か手が入ってる?
加速がとにかく気持ち良い
一般道に出て加速を試していきます。
アクセルを踏むと少し太めのグルゥゥンという音でエンジンが回転します。
加速はめちゃくちゃ速いという感じではないんですが、低速トルクがしっかり感じられて最初の一踏みから滑らかにスッと加速してくれます。
1.8Dの加速の出足や、2.0Gのトルク感の物足りなさを埋めるプラスアルファしてきたという印象。
アクセルの剛性も高くて踏んだ分だけリニアに反応してくれます。
人によるとは思いますが、人間の意志と乖離がとにかく少ないと言いましょうか。
走る上で全くストレスがありません。
バイパスや坂道の加速も力強く吹けあがり、気持ち良かった。
グルァァァンと良い音で加速します。
やはりこの力速の力強さは他のエンジンモデルでは味わえない良さだと感じました。
冒頭でも書きましたが、ロードノイズは気になります。
特にアスファルトの粒度が荒い路面と、細かい路面の切り変わりで明らかにノイズの大きさに違いが出ますね。
苦手な周波数があるのかもしれません。
マイルドハイブリッドの採用による違い
このクルマを語る上で他のモデルと大きく違うのがマイルドハイブリッドシステムの採用による恩恵ではないかと感じました。
まずアイドリングストップや復帰のスピードと振動がすごく静かで自然。
私の乗ってるスバルレヴォーグのアイドリングストップは振動、音、共に大きめで不快感が伴うのでシステムを切ってしまいますが、SKYXのそれであれば切る必要ありませんね。
他のエンジン20Sや18Dと比較しても特に振動が少ない印象でした。
そもそもマツダのアイドリングストップシステムは良く出来てるんですがそれがさらにブラッシュアップされています。
マイルドハイブリッドシステムで抵抗を与えることによる制御だそうです。
ブレーキタッチの違いが大きい?
さらにマイルドハイブリッドの採用でフィーリングに変化があったのが、ブレーキタッチ。
このブレーキペダルの剛性感も相当なもので、かなり安心感あります。
個人的に嬉しかったのが、ブレーキの効き始めるタイミングが少し早くなったこと。
おそらく回生ブレーキの躾の中で行き着いたんだと思いますが、これが街乗りではかなり雰囲気良かったです。
回生ブレーキの躾
さらに凄いなと思ったのが、回生ブレーキを取り入れながら他のエンジンモデルと遜色の無いブレーキの操作性を実現しています。
ストロングハイブリッドとは違うので一概には言えないのかもしれませんが、ハイブリッドの回生ブレーキは最初ガツっと効いてから調整が難しいクルマもまだ少なくありません。
しかしSKYXはマツダらしいブレーキタッチで調整がしやすい感じ、素晴らしいんではないかと。
最近のマツダ車のブレーキタッチがガッツリ好みの方には若干違和感として感じる部分かも?しれません。
変速ショックも少なめ?
ここは微妙な違いだと思いますが、6速ATの変速ショックも少なくなっているそうです。
営業さんのお話ではメーカー側の説明としてあったとのこと。
ワインディングでのコーナリングが絶品
ワインディングでもSKYXならではの良さを感じることが出来ました。
2回目の試乗は、以前2.0NAモデルの試乗したときとほぼ同じコースで走りを確認。
マツダ謹製のコーナリング制御技術、GVC+(Gベクタリングコントロールプラス)がかなり良い仕事をしています。
特にSKYXではよりこの効果を感じることが出来ると思いました。
少しハイペースでカーブに突っ込んでもロールや大きな姿勢変化を感じることなく曲がれてしまいます。
これは他のモデルも殆ど同じフィーリング。
SKYXは車重のおかげか他のエンジンモデルより重厚感を伴う走りが、コーナリング時の車両の安定感に貢献している感じでフロントノーズがフラットな姿勢を保ったまま旋回。
そしてコーナー終わり部分のノーズの向きが最後の一声でスッと入ってくれる素直さもあります。
極端かもですが、FFだけどFRのような挙動の素直さを感じました。
サスの動きが安定している分車両との対話が可能な感じでカーブがより楽しいと感じる仕上がり。
ハンドリングも良くてコーナリング中のステアリングも安定していました。
しっくり落ち着いた座り感がコーナリング中もキープされていて安心感ありますね。
この前レポートしたプジョーの508みたいにガッチリまでは行きませんが、もう少し外に振ってみようか?とか試せる余裕がある感じ。
GVCの効果を感じやすいということは逆に不自然ということか?
16インチと18インチでの違い
インチサイズが違う事での走行フィーリングの違いとしては一般的なもので、ロードノイズの違いが大きいと感じました。
18インチではより音が大きくなりますね。
地面に張り付く感じは18インチが大きいので運転の楽しさは18インチだと思います。
MAZDA3には17インチ辺りがベストな気もしますが、オーナーさんが自分で手を入れる余白が作ってある部分でしょうか?
コーナリング時踏ん張るシーンでのゴムのヨレ感は街乗りレベルでは感じることが出来なかったです。
GVC+の車両姿勢制御が良く出来てるんでしょう。
乗り心地は上質な欧州車ライク
乗り心地は先ほどから書いてはいますが、少し硬質感を増した印象の足回りで路面の凹凸や段差を拾ってもダンパーが伸びて元に戻るのが一瞬で車両のフラット感が強いので快適。
他のモデルでも乗り心地は悪くないのですが、SKYXよりもストローク量が多い感じがあり、揺さぶられるのか?と感じる寸前で収束します。
個人的にはマツダ車のスポーティで味のある足回りの動きだと解釈していて、好きな部分なのですがSKYXの乗り心地も上質感があって良かったです。
SPCCI・火花点火制御圧縮着火 状態について
SKYXモデル専用としてマツダコネクトのモニターで燃焼状態を確認出来ます。
試乗中にその画面は撮影できませんでしたが、巡航中割と多い時間でSPCCI燃焼状態で走行しているようです。
上の画像は文字を私が追加しています。
SPCCI状態になるとクランクとピストンの漫画が緑になって右に緑でSPCCIと表示。
燃焼状態やマイルドハイブリッドの回生状況をモニターできるようになっていました。
オーナーになったら走行中に確認しながら走るのも楽しそうですね!
以上です。
最後に
MAZDA3 SKYACTIV-Xモデルのドライブフィールをレポート。
書きながら、この辺りの感覚というか良さって伝わり辛いだろーなと思ってしまいました。
世界初量産エンジンというインパクトのある存在なのにドライブフィールは簡単に言ってしまえば「よく出来た走り、不満の無い走り」という感想を持つ方が殆どだと思います。
もっと分かりやすく爆加速とか、切れきれのコーナリングとかにすれば印象深いと思うんですけど、そうしない所にマツダの職人魂を感じずにはいられません。
走りに拘る方ならSKYXモデルの存在とその良さは素晴らしく映ると思うのですが、そうでない方の方が多いと思います。
価格も20Sに対して約70万円アップするので・・・
コスパ考えるとどうしても選択され辛い感じします。
メーカーとしてはこのパワートレーン搭載車の魅力をどのように伝えていくのかが見せ所ですね。
「SKYXの素晴らしさがちょっとでも伝わって欲しい」
そう思いながら、どの部分が従来モデルと違うのか細かく書いたつもりなので、SKYXが気になっている方は今回のレビューのポイントに注目して試乗して頂けると良さと凄さをより体感してもらえるかも?
以上でMAZDA3のSKYACTIV-Xの試乗レポートを終わります。
ブログ仲間の「くるすぺさん」と「トガリさん」もSKYXの乗り味についてレポートされているのでそちらも参考にしてみてください。
くるすぺさんの記事はマニュアルモードや細かい動的フィーリングのレポート。
どうも、自称試乗マニアのくるすぺです。 はい、MAZDA3 SKYACTIV-Xモデル、試乗させてもらいました!!!!!…
トガリさんの記事ではセダンのSKYXレビューと試乗レビューを確認できます。
SKYACTIV-Xの加速フィールは、アクセルレスポンスに対してスムーズに反応する上質な加速感!マツダのドライビングを楽…
お二方とも素晴らしいレポートされていますので是非。
MAZDA3公式HPです。
5ドアスポーツ・ハッチバック(ファストバック) / 4ドアセダン「MAZDA3」の車種情報。デザインや内装、走行性能など…